2007.08.01 200HTだ!
こんばんはー
やっと200HTです!
あぁー感動です(笑

小説今回のはかなり長いです。
そしてこれは一気に書き上げたのでかなり文章が雑になっていると思います。
すみません。結構いいところなのに、はは(汗

でもこれが一番伝えたくて書いたのであまり訂正はせずに載せます。
未熟なんで大目にみてください。

追記をどうぞ。
四章

エピソード3 これが真実


俺は・・この時、生まれて初めて自分の耳を疑った。



「申し訳ございません。こちらお一人様では乗ることができません。」
従業員がものすごく申し訳なさそうに俺にあやまった。
「・・・・」
「すみませんが、もうすぐ閉園の時間になってしまうのと、後にお客様が沢山いらっしゃるので―――」

今、この従業員なんていった。
呆然としている俺にかまわずしゃべりだすがその言葉は頭に入ってこなかった。何をいっているのかは分かっている。閉園とか後ろのこととか・・でもそうじゃなくて何故いま一人って―――
「まてよ。一人って何だよ。隣にちゃんといるだろ・・」
従業員の言葉をさえぎり、隣にいる美和を指した・・・はずだった。
「えっ」
言葉にならない声を出した瞬間、

ドンッ

ものすごい風みたいなやつがが俺の背中を強く押し、観覧車の中に突っ込まれた。
「お客様困ります!」
焦っている従業員の声が頭の中でこだまする。観覧車は上へと進んでいった。思いっきり全身が床にたたきつけられ、やっとのおもいで起き上がった。座席に腰をおろすと目の前には美和が座っていた。
「痛っ。美和、一体何が起こったんだ。」
問いかけるが彼女はなにも答えてはくれなかった。
  

 
あれから何分経ったのだろう。よくわからないがいまだに沈黙が続く・・。観覧車は約二十五分で一周すると書いてあった。でかいから時間がかかるんだろう。
それにしても、さっきのは一体なんだったんだ。隣をみたら美和はいないし、ものすごい風かなんだかわかんないやつに押されたし・・頭の中が混乱する。いくら考えたって分からないの一点だ。
「なんで、何も答えてくれないんだ。」
じっと美和を見つめ沈黙を破った。彼女は何かをためらっているように見えた。
「もう終わりなんだね。」
「えっ。」
 下を向いた彼女は呟いた。
「私に・・さ・・触って・・みて。」
普段の美和からは想像もできないかすれた声だった。何故そんなことを言い出すんだろう。意味が分からない。触って、といわれるとなんだか緊張する。こんな状況でそんなことを考えるなんておかしいんだけれど、思えば彼女に触れたことが一度もなかった。普段から女にはあんまり触らないようにいている。一応男だしそこらへんは女がいやな思いをしないように気をつけてきた。だから触ってといわれても困ってしまう。
でも、言われたとおりに彼女の肩を触ってみた・・・ガタッと体勢をくずして俺の手が椅子を叩いた。彼女の体を自分の手が通った。
「・・・なんで・・」
悲しそうに美和が笑った。自分の手をみると震えている。
「これで分かった?ごめんね。さっきのは私だよ。」
静まりかえった中で彼女の声が響く。俺は何も言えなかった。
「本当はここにはいない存在・・いてはいけない存在なんだよね。」
はは、って彼女は息を漏らして苦笑いした。
黙っていた俺はふと思った。さっきの従業員の言葉は嘘ではなかったということか。つまり、俺以外の人間は美和が見えないということだ。でも、そんなの信じられない。まるで映画や漫画の世界にでもいるような感覚になる。
そうすると、いままで傍からみたら一人で遊園地にいたということになる。電車でのこそこそ話や、並んでいて笑われたのは・・俺が一人で話したり笑ったりしたから・・ジェットコースターでレバーが下ろせなかったのは単に彼女の力が弱かったわけじゃない。物に触れられないから・・日曜日にここへ行こうといって一瞬顔をゆがませたのは他の人から見えないのを知って不安に思ったから・・今日だけじゃない。他にも考えればおかしいところはあるはずだ。でもそれはすべてここでつながる・・なのに俺はいままでずっと彼女のたくさん笑顔をみてきた・・。
「痛っ。」
一気に色々と考え込んだせいかまた激しく頭痛がした。彼女は下を向いたまま顔を上げない。
「・・・んで・・だ・・」
痛みをこらえて必死に話す。
「えっ」
うつむいた彼女が顔をあげ、俺の話を聞こうとした。
「なんで笑ってんだ。」
顔をあげ、彼女のことをまっすぐ見つめた。
「なんで笑ってられるんだよ。なんで軽々しくいちゃいけない存在だなんていうんだよ。なんで・・なんでだよ・・」
涙がでた。男のクセにどんどん頬を伝って落ちていく。頭痛いくせに彼女からどうしても目をそらすことができない。
ふと俺は思った。本当はどこかで感じていたのかもしれない。初めてあったあの日から。なんか違和感が残っている。
・・・・・・・・・・・・・初めてあった日。
はっ、っと目が大きく見開く。さっき触れたことなかったって思ったけど一度だけあったんだ。初めて会った日、よろしくといって握手したあの時の冷たい手・・
美和がつらそうに唇をかみ締める。息を荒くはいてから口を開いた。
「あのね、存在しちゃいけないってことは死んでるんだ・・・けどね、正確にいうと、まだ死んではいないの。かすかに・・かすかにだけど生きているの。でも、それは今の医療の技術の力でつなぎとめられているだけで・・私が完全に意識が戻ることは百パーセントありえないんだって。植物状態ってやつかな。私頭悪いからわかんないや・・・でも、もうそろそろ終わる。その命のつなぎ目が切れるんだ。医者が下した決断で、このままではなにも変わらないから安らかにねむってもらおうって・・・聞こえるの。病院にいる本当の私から伝わるの・・・」
そう話して彼女は深いため息をついた。
痛い。痛い。頭痛は止まらない。けれど俺の涙は止まった。止まってしまった。濡れた頬を手でぬぐう。
まだ・・死んでいない。つなぎとめられている。そんな言葉を聞くのがつらかった。そんなふうに美和の命がつながられている。想像も出来ない世界が広がっていた。
普通の女子高生だとばかり思っていた。明るくてすごく元気な光のある子だと感じていたのに。
「そんな・・・お前がどうして俺のそばにいられるんだ・・」
「これはね、魂だと思うんだけど、もう私の体から離れちゃったみたいで元にもどれなの。おかしいよね、生きているのに死んでるなんて。矛盾しすぎて笑っちゃうじゃん。難しいよ・・・ばかだから。わかんないよ・・。どっちかに・・き・・めて・・よね。」
彼女の目からも涙が落ちる。ぬぐいたいのを必死に抑えた。手に力が入る。
「そんな・・お・・前が・・なんで・・俺なんかに・・」
頭痛がおさまらずうまくはなせない。とぎれとぎれにしかでない声にいらつく。
美和が俺と目をあわせる。大粒の涙がポタポタ落ちる。それはあまりにもリアルで魂とは思えないくらい光っている。
「・・・・い・・・て・・くれないよね。」
泣いているせいで声が乱れてなんていっているのか分からなかった。
「なんだ。」
優しく、少しかすれてしまった声をだした。大きく息をすった美和はもう一度いった。
「もう・・思いだしてくれないよね・・直哉。」
・・・・・・・そのとき今までデ一番激しい頭痛がした。くるしくて頭を抱える。
痛い・・・。痛い・・。
美和が叫んでいるのが聞こえる。
直哉・・直哉・・
俺の名前・・呼んでる・・返事をしないと・・。
意識がだんだん遠のいていく。頭痛が彼女の声を掻き消そうとしている・・・。



「好きです。付き合ってください。」
それは、片思いしていた女の子からの突然の告白だった。彼女の名前は木ノ下 美和。同じクラスでひときわ目立つ明るい子で人気ものだった。誰もが彼女のことを認め、信頼して男子の中でも彼女に行為をもっているやつは多かった。その中にはもちろん俺も入っていて、とりあいといったら変だけどみんな彼女に猛烈なアピールをしていた。
俺が好きになったきっかけは委員会が一緒になったときだった。
「安土君、委員会行こうよ。っていないし。」
「あぁ直哉だったらどうせまた屋上にでもいるんじゃないかな?」
委員会なんか誰が出るもんか。無理やりやらされて、いく気なんてもてないって。
ねっころがって空を見上げた。太陽がまぶしくて思わず手を上げた、そのときだ。
「あぁ〜いた。安土 直哉。委員会をさぼろうったってそうはいかないからね。」
「げっ、木ノ下。なんでここが・・」
「江田君から聞いちゃったもんね。」
「拓真のやつよけいなこといいやがって。」
ばれたことにいらついて彼女に背を向けた。でも俺の方にまわってきて隣に座った。
「ここいいね。風が気持ちいい。」
見上げた瞬間風が吹き彼女がきゃ、っていって髪を掻き分けた。その姿がすごく目に焼きついて離れなかった。
その日から彼女を意識するようになった。高校に入ってからは恋とか付き合うとか考えていなかった。女子がわりと苦手だったし、サッカーができればそれでいい。それしか考えていなかった。
でも、今はいつも美和が隣にいるのが自然と当たり前になっていた。毎日一緒に帰ったし、デートだって何回かした。学校でも喧嘩とかしたけど仲良しカップルということでみんなからの視線もすごかった。
「お前どうやったら絵の具が俺の制服につくんだよ。クリーニングにださなきゃいけないじゃんかよ。」
「だった直哉が突然前にあらわれるんだもん。よけられなかったよ。」
ささいなことだけど、毎日が楽しかった。
サッカーだって、一年生だったけどそこそこできるから先輩からもほめられたし、美和が時々フェンスごしからみてるのに気がつくと俄然やる気がでた。

「直哉。ずっと一緒だからね。」
帰り道ふとこんなことをいわれたことがある。どうしたのだろうかと心配になったが、俺は迷わずに言った。
「当たり前だろ。」
彼女を抱き寄せてキスをした。
一生この幸せが続くって思ってた。彼女が隣にいるのが当たり前で、この先に悪夢がまっていたなんて知らなかった。
絶対に幸せだったはずなのに。
あの事件がない限りは・・。

それは俺たちが二年生になって、付き合って一年の記念日が来た日だった。その日は丁度日曜日だったから二人で出かけようってことになっていた。待ち合わせは駅前。駅のすぐ前は道路になっていた。バス停やタクシー乗り場があり、人や車が混雑していた。寝坊してしまった俺は焦ってプレゼントの指輪をポケットに入れ急いで待ち合わせ場所へ向った。プロポーズとまではいかないが、その意味もこめて彼女に贈ろうとしていた。なんか恥ずかしいけど、美和の笑顔が見れれば幸せだと思った。
やばい。十分も遅刻とか最悪だ。いままで寝坊なんかしたことなかったのに肝心な時に寝過ごすなんて、美和待っているだろうなぁ。
急いで自転車を駅まで走らせた。着いたら自転車を駐輪場に止めて駅前の道路を渡ろうとした。ここには信号がないが大して車は通らない。バスは反対側の道路を使うため普通の乗用車専用だった。
「直哉ー遅いよー」
駅の前で待っている美和が俺に気づき笑顔で近づいてくる。彼女のそばに早く行きたい俺は思わず左右をみずに道路に飛び出した。

この、俺のあまい行動が美和の笑顔を奪った。
「まって!直哉危ない!」
その瞬間ものすごい勢いで走ってきた車が直哉に向う。
美和がかばんをなげてあわてて飛び出す。彼女が思いっきり直哉を押した。車はブレーキを踏むタイミングが遅すぎてそのままの勢いで突っ込んだ。
「美和――――――――」
誰かの悲鳴と大きなブレーキの音。押された俺は強くコンクリートに打ち付けられ、美和が宙を飛ぶのが見えた・・・・



「・・・・・・・・・・・・・・」
頭痛はとまったくせに今度は止まったはずの涙がまたでてきた。苦しくて息ができない。
「ああ―――――っ」
思いっきり叫んだ。記憶がよみがえる。あの時のことが鮮明に浮かんでくる。あの日のこと、その前のこと。彼女との思い出がすべてよみがえった。頭を抱え込み涙ながらに叫んだ。小さな空間に俺の叫び声が響く。
美和は全てを悟ったかのように下を向く。
美和とは初めてなんかじゃなかったんだ。俺の彼女だったんだ。どうして忘れてしまったんだろう。
俺のせいで、俺のせいで美和があんなことに。俺が彼女を殺したんだ。車じゃない。俺のせいなんだ。彼女の笑顔を奪ってしまった。
俺が寝坊しなければ、俺があの時左右をみていれば、止まっていれば、彼女があんな目にあうこともなく一生一緒にいられたのに。
俺が彼女の短い人生にピリオドをうってしまったんだ。勝手に。長く続いた文章を断ち切ってしまった。鋭く重く。
俺は脚を怪我したのと頭を強く打っただけなのに、彼女はぼろぼろになった。病院で見た彼女は体中が傷ついていた。丁度夏の始めだったため腕や足が露出した服を着ていて手足には傷跡がつき、頭が包帯で巻かれていた。
意識不明の重体。彼女の家族が彼女にすがり付き泣いていた。俺もその場に倒れこみ大声で叫んだ。
「美和、美和。目を開けてくれ、お願いだから目を開けてくれよ。俺ら付き合って一年たったんだぞ。ずっと一緒だ。って約束したじゃんかよ。なぁ、逝くなよ。逝くなって言っているだろ。聞こえるか。美和!」
醜くヒステリックになった俺は思わず彼女の肩をつかんで揺らした。医者と看護師が俺の腕をあわてて押さえる。
「君、何しているまだ足も治っていないのに・・」
「はなせ。はなせよ。はなしてくれよ・・美和、美和。待ってくれよ。このままあえないなんてないよな。お願いだよ・・美和・・」
何回彼女の名前を叫んだことだろう。名前を呼ばなきゃいけない。絶対そうしないといけないんだと自分に言い続ける。
まわりからみれば幼いことをしている。男のクセに。でも、そんなことはどうでもよかった。
俺が男であろうが、かっこわるいだろうが関係ない。

神様・・彼女を助けてやってください。ほかは何も望みません。

「このままだと危険な状況です。一旦集中治療室へ運びます。」
彼女が移動用のベッドに移され運ばれる。美和をもうどこへも行かせたくなかった。
「美和にさわるな。連れて行くな。はなせ。」
必死に腕を振るが自由に動けない。足も思うように動いてくれない。彼女が動かされ部屋から消えていった。家族と医者もそれを追うように部屋から出て行った。腕を放されその場に倒れこむ。足を引きずって美和のベッドに顔をうつぶせた。思いっきり足を叩く。
ここに寝ていたはずなのに彼女のぬくもりがもう消え始めていた。彼女の匂いが血の臭い
と混じる。涙が止まらない。苦しくて。苦しくて。何もできなかった自分を憎んだ。
「ごめん・・美和・・ごめんな。」
ずっと寝ていなかった俺は、しばらく泣き続け、目を閉じた。

相変わらず涙が止まらない。あの日。もう見れないと思っていた笑顔にまたあって毎日見ていたなんて。信じられなかった。自分が怪我をした足を床に強く打ちつける。揺れたって関係ない。その前に記憶がなくなってしまった自分を酷く嫌い殺してしまいたかった。
「美和・・・ごめん・・お前を・・忘れたりして・・ひどい目に合わせてごめん。つらい思いさせてごめん。」
彼女がいままでどんな思いで俺に接してきてくれたんだろう。自分のことを忘れ、ただ謝ることしかできない彼氏のことを酷く憎んだに違いない。それでも、俺に笑顔をみせて黙ってきた彼女のことを考えると胸が痛む。
涙を流しながら彼女の顔をみずに頭を下げた。それをみた彼女はゆっくり口を開いた。
「そのままでいいから聞いて。あの日、事故があった時、私は直哉を助けたい一心で飛び出したの。あれは私が自分できめて、自分の足で飛び出したの。だから誰のせいでもないよ。それにそんなふうに自分のせいだって決め付けて苦しまないで。もう直哉に会えないかもしれないっておもったときはすごく悲しかったけど、それで直哉がたすかるなら私は幸せだと思ったの。車にはねられたときすごく痛くて、怖くて、声がでないから何度も直哉のこと心の中で叫んでいた。直哉、直哉助けて・・・って。そして、気がついたら直哉の目の前にいたんだ。あの時もう一度会えたことが嬉しかった。握手して手が触れたとき、自分がこの世にいない存在だ。って気づいたの。手、冷たかったでしょ。あれは多分私自身が魂になって外に出たばかりだったから、触れられたと思うの。ううん、私が直哉に触れたいって強く思ったからかもしれない。神様が私の願いを一度だけかなえてくれたんだって思った。
でも、直哉が私の顔をみて何も感じていないのが分かったときすごく悲しかった。記憶喪失って言葉が出てきて涙が出そうだったけど、我慢した。我慢するのってつらいね・・・それから自分に会いに病室へいったの。なんか機械がいくつかある部屋で傷だらけの私がそこにいたの。怖かった。こんな自分を見るのがはじめてだった。それで、その自分を直哉に見て欲しいと思ったの。直哉の心に私がいないまま死んで逝くのが怖かった。だから会いに行ったの。途中で会うのをやめようと思ったことも何度かあったの。もうどんなに会っても思い出すことなんてないんじゃないかって思うと息が苦しくなったから。でも・・だめだった。直哉の笑顔が見れたとき、幸せで、一瞬あの頃に戻れたような気がしたの。でもそれが私しか感じていないんだって思うと悲しかった・・。」
すこし黙って呼吸を整える。
彼女が今までどんな思いだったか痛いほど伝わってくる。一番つらいのは俺じゃなくて美和なんだ。
「本当は思い切って幽霊ですっていえばいいんじゃないかって思ったの。そうすれば思い出すかもって・・でも自分から言うのってあまりにもきつくて、気づいて欲しいと思ったの。触りたくても触れない私の体・・心に気づいてほしくて・・・今日、遊園地に来たの。これで全てが終わる。そういう覚悟で来た。でも、だめだね。いおうと思っても・・・・楽しかったんだ。電車の中とかジェットコースターの待ち時間で直哉と話しているときが。周りからみれば直哉は変な人なのに、それくらい私に比べたらいいよね、って。心の中ではたくさん謝ったよ。酔っている直哉なんか昔と全然変わってないからすごくおかしかった。幸せだったなぁ。」
さっきとは違って少し明るい声で話す。でもやっぱり震えている。
「やっぱりこのまま黙っていればいいかもって思ったの。私の記憶がなくても今のままで・
・でも観覧車でのことは予想外だったからつい気持ちが風にでたのかも。幽霊ってなんでもできるね・・・・・・・ここまで・・ここまで話すのってすごく勇気いるね・・・はは。」
全てを話し終えて満足したのか美和は胸をなでおろす。
「ごめん・・・ごめん・・・ご・・めん。」
何度謝っても意味ないってわかってる。でも、心から彼女に謝りたい。何回いえば伝わるだろう。
彼女は優しく微笑んだ。すごく優しい瞳だ。強いんだな。初めて彼女を心から尊敬した。
「そんなに謝らないで。さっきもいったじゃん。自分を責めないで、って。彼氏失格なんかじゃないよ。もちろん悲しくて苦しくてすごく嫌だった。でも、一度も直哉を恨んだことはないよ。安心したの。直哉が生きてて良かった。だって助けたのに死なれちゃ困るよ。直哉には長生きして欲しいの。本当はさ、ずっと直哉の隣にいるつもりだったのに・・・」
また泣き出す彼女に優しく言った。
「隣に来いよ。」
少し立ち上がり自分の隣を空けた。涙を拭いて驚いた目だったが喜んで隣に来た。足音もせず、揺れもしなかった。彼女に抱きつきたい思いを必死でこらえた。
「なんか、今までで一番近くにこられた気がする。」
涙ながらにニコニコする美和。涙をぬぐい真剣な目で彼女に、
「俺さ、一生お前のこと忘れない。二度とお前のこと忘れたりなんかしない。俺の隣は空けておくよ。いつでもお前がこられるように。」
手をにぎりしめ気持ちが伝わるように言った。
えっ。っと美和がこっちをみる。
「だっだめだよ。直哉にもいつか好きな人ができてお嫁さんもらうんだから。いつまでも空けておくことなんかできないよ。私は直哉が幸せならそれでいいの。それ以上はなにも望まないから。」
ねっ、って美和が微笑する。ものすごく焦っているのがわかる。強いけどやっぱり女の子だ。そんなの嫌に決まってる。
「ずっと忘れてたのにこんなことでごめんな。でも、これだけははっきり言う。実は記憶がなかったのに俺はまたお前を好きになったんだ。今日誘ったのもお前に好きだって言おうと思ってのことだったんだよ。俺の幸せは美和・・お前がいることなんだよ。俺もそれ以上はなにも望まない。俺がこの世で一番愛しているのは美和なんだ。って俺らしくない言葉だけど、本気だ。今思うとこれってすごいことじゃないか。二回もお前のこと好きになったんだよ。多分三回目も四回目があっても俺は絶対お前を好きになる。お前じゃないお嫁さんなんかいなくたっていい。欲しいと思わないよ。」
触れられないのに美和の頬をなでる。そのとき、美和の体が薄れているのが分かった。
「・・・・直哉・・ありがとう。そっか、私二回も愛されたんだ。モテモテだね。愛してるなんて一生いってくれないと思ってた。だって直哉らしくないもん。変なの。変だよ・・・・。」
 美和から大粒の涙が出る。何度泣いているんだよ。そういいながら自分も視界がにじむ。
「私も・・愛・・してるよ。直哉・・・へへ。なんかてれくさいね。」
その瞬間美和とキスをした。感じられない美和の唇。でも確かに美和はそこにいる、彼女のかすかなぬくもりを感じる。感じられる。
そっと唇を離す。の顔がどんどん見えなくなる。
「ありがとう・・・直哉・・愛してる・・ありがとう・・愛・・して・・る。」
  

気がつけば、笑顔の彼女は風になった。


                        
                        





    

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